インディアンのこと、インディアンジュエリーのこと。

Tribal Nations Map

サウスウエストのインディアンたち

インディアン(あえてこの呼称を使います)は西洋移民との確執の歴史の果てに、大陸諸所に追いやられました。そこに生まれた悲哀の物語は実に示唆に富んでいると思うのですが、それをここで語るのはちょっと置いておきます。


現在も、多くの部族が各地で暮らしています。とりわけ南西部に住む部族は、交易品としてターコイズのジュエリーを製作してきた経緯があり、その技術に秀でています。上の北米大陸の地図(すべての部族が今もそこで暮らしているかについては不明)でターコイズ色にマーキングしてあるところが、おおよそ南西部。ニューメキシコ州とアリゾナ州をまたがる辺りです。時代とともに生活は大きく変わってしまったけれど、ジュエリー製作の技術は伝統として、また生きる糧として受け継がれ、尚も発展しています。

それぞれの部族とテクニック

ひとくちにインディアンジュエリーと言っても種類はさまざま。部族それぞれに十八番の技術があって、例えばナバホ族のスタンプワークや、ズニ族のインレイワークなどといくつかに大別されますが、最近はそんなふうに分類するのも難しくなってきました。部族の垣根を超えて新しい技術にチャレンジしたり、独自のセンスを盛り込んだりして、ジュエリーはますます花めいています。うれしいかぎり。というわけで、代表的なものを以下に紹介します。


スタンプワークスタンプワーク

さまざまな形にカッティングした鉄製のスタンプ(タガネ)をシルバープレートに打ち込んで模様を描き出す手法。
スタンプはそれぞれアーティストの手製で、その打ち込む配置や、力の入れ方などであらゆるデザインを描き分けます。
ゴールドラッシュ時代、スタンプワークを施して小ぶりのターコイズをはめ込んだシルバー製品がサウスウエストの土産品として大量生産された(フレッド・ハーベイ社スタイル)ため、インディアンジュエリーと聞いてこのスタイルを思い浮かべる人も多いかもしれません。(ただし、フレッド・ハーベイ社製のジュエリーはインディアンメイドでないものも多い。)

【得意とする部族】 ナバホ(Navajo)

クラスタージュエリークラスター/ニードルポイント

石や貝殻を丸や楕円にカットしてシルバーにセットする技法をクラスター、さらに細く針のようにカットしたものをニードルポイントと呼びます。ターコイズを花びらや花火のように配置したものが代表的。いろんな種類の石をセットしてカラフルに仕上げたものもあります。
グレードの高いターコイズは産出量の兼ね合いで粒を揃えるのが難しくなったため、大ぶりの石を並べたクラスタージュエリーは特に見応えがあります。

【得意とする部族】ズニ(Zuni)、ナバホ(Navajo)

インレイワークインレイワーク

石や貝殻を緻密にカットして貼り合わせ、絵画のように組み上げる技術。
表面を平らに仕上げたフラットインレイ、切り出した石の間にシルバーラインを入れたチャンネルインレイ、石を数ミリ単位で細かくカットしたマイクロインレイなど、手法のバリエーションが豊富なだけに作風もとりどりです。ジェットなど黒色の素材を利用して筆絵のように仕上げた作品も。

【得意とする部族】 ズニ(Zuni)、ナバホ(Navajo)*マイクロインレイ

オーバーレイオーバーレイ

シルバーのプレートを糸のこで切り抜き、2枚重ねることでデザインを彫刻のように浮き上がらせる技法。ベースのプレートは黒く酸化させるのが一般的ですが、砂型を使って風合いを出したものもあります。
複雑なデザインを切り出すためには、糸のこを扱う技術も相当にハイレベルでなければならず、その作業を想像するだけで圧倒されます。

【得意とする部族】ホピ(Hopi)、ナバホ(Navajo)

ヒシネックレスヒシ

石や貝殻をさまざまな形のビーズに削り出して組み上げる技術。
大きさ、色、カタチの異なるビーズを自在につなぎ合わせて作るネックレスやブレスレットは、サント・ドミンゴの伝統工芸です。

【得意とする部族】サント・ドミンゴ(Santo Domingo)

もちろん、ここに挙げたのはほんの一例。
イレスタ族、アコマ・ラグーナ族、サンフェリペ族など、部族を問わず多くの作家がすばらしい作品を生み出しています。